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第316段:くしゃみ、鼻みず、鼻つまり

バレンタインデーが近づくと山陰地方もスギ花粉症の季節が本格的に到来します。

スギ花粉症は1960年代から認識されてきた比較的新しい病気の一つです。
三大症状といわれる「鼻水」「鼻つまり」「くしゃみ」に加えて「目のかゆみ」や「あふれ出る涙」に悩まされる方も少なくありません。

花粉症の報道が始まると自己診断で「花粉症です」と、受診される方が最近は多くなって来ました。

ところが、スギの花粉がほとんど飛ばない日にも花粉症のような症状で受診される方もいらっしゃいます。

典型的なスギ花粉症の患者さんは「雨の日はスギの花粉が少なくなるので楽です」といわれるのですが、前述のような方は「雨の日でも調子が改善しない」と言われます。

実はスギ花粉症のような症状が頻発する病気は花粉症だけではありません。

意外に多いのが血管運動性鼻炎と呼ばれる病気で気温の変化やストレスなどで三大症状があらわれてきます。
冷たい空気を吸ったり、温かい湯気に当たるだけでも症状が出てきます。

高齢者の方が「熱もないのに鼻汁やくしゃみが出て寒気を感じるので風邪をひいたようだ」と受診されることもあります。

こんな患者さんにはアレルギーの検査をしてみても花粉に対する過敏性は表れません。

ある日、こんな症状に良く効く漢方薬があることに気がつきました。

小青竜湯(ショウセイリュウトウ)とか麻黄附子細辛湯(マオウブシサイシントウ)とか苓甘姜味辛夏仁湯(リョウカン・キョウミ・シンゲニントウ)と呼ばれるような漢方薬です。
漢方の考え方では花粉症のような状態には、冷えを治すような生薬とアレルギーを調節するような

生薬を配合しているので、結果として花粉症の方にも血管運動性鼻炎の方にも効果が期待できるのです(経験的にスギ花粉症と血管運動性鼻炎を合併している方が意外と多いのです)。
漢方薬でも健康保険が使えますので、かかりつけの先生とよくご相談ください。


島根県のシルバー人材センターの広報誌「しにあわーく」より
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第315段:お風呂に入る

年間1万4千人の方が亡くなる原因をご存知ですか?

厚生労働省の死亡統計をみると、老衰で亡くなる人が年間5万人余り、自殺は3万人前後、交通事故は7千人程度ですし、熱中症は千人足らずです。

実は、東京消防庁の数年前の推計で、日本全国では入浴中の死亡者数が年間1万4千人と計算されているのです。

この入浴中の死亡事故の内の8割から9割が65歳以上の方々なのですから、高齢者の多い日本では無視できない数字なのです。
そして亡くなった方の8割が「一人で入浴している元気な健康高齢者」であることも分かっています。

つまり、入浴中の事故がなければもっと長生きで来ていた人たちなのです。

入浴中に溺れるだけでなく、滑りやすい浴室での転倒や脱衣場と湯船の中の急激な温度変化のために様々な病気が起きていのではないかと考えられています。

入浴中の事故の特徴は、入浴が一人で行われることが多いため発見が遅れやすい、より高齢の人に多く、男性よりも女性に事故の発生頻度が高い、気温の低い日に起こりやすく、深夜から早朝の入浴が危険などと分析されています。

湯船にお湯をためて、入浴が一番のリラックスと感じている日本人はかなり多いようで、結果的に長湯をして湯あたりする場合もありますし、急に湯船から出て立ちくらみを起こす場合もあるようです。

日本人ではほとんどの人が週に3回以上湯船につかりますが、体を洗うことを目的とした米国人では週に3回以上湯船につかる人は4人に1人もおらず、ほとんどがシャワーで済ませているという報告もあります。

このため日本は他の病気での死亡率が低いにもかかわらず、家庭内の溺死や溺水、浴室での事故や死亡が多くなっているのです。

安全な入浴は、
①湯の温度は39~41℃
②長湯をしない
③脱衣場には暖房をいれる
④浴室内にはシャワーで高い位置から3分ぐらい40℃前後のお湯を流して床や壁を温める
⑤食直後や深夜に入浴しない。

など安全に配慮してお入り下さい。


「島根県シルバー人材センター連合会」機関誌「いきいき健康情報」より

第314段:備えあれば憂いなし

「子供が今年生まれた孫を連れて遊びに来て、
『お利口だったから何かご褒美を・・・』というのだよ、
『まだ1歳にもならないから、褒美も何もないだろ』と答えたら、
『何種類もの予防注射で何度も針を刺されたけど大騒ぎをしなかったので・・・」と、いうのです」
と話す方がいらっしゃいました。

「やっと、予防接種の後進国から普通の国になり始めたということです」と答えました。

最近の医療情勢にうとい方にはビックリの話ですね。

いわゆる新型インフルエンザの流行し始めた2009年より数年前から日本の予防接種の方針が変わり始めました。
それまでの日本の予防接種は、その副作用に焦点を合わせた報道が繰り返されていましたが、手のひらを返すように報道の内容が変わりました。

世界的には病気を予防するために積極的に予防接種をするというのが潮流で、日本の予防接種行政は20年から30年近く世界標準から遅れていたのです。

大人にも6・7年前から接種のお願いをしているワクチンがあります。
肺炎球菌のワクチンです。

肺炎の原因の菌のうち肺炎球菌と呼ばれる細菌で起こる肺炎は全体の1割から4割といわれています。
この肺炎を予防するワクチンなのです。

平成23年の日本人の死因の第3位は肺炎になりました。

島根県内では自治体が補助を出しているところもありますが、まだ全額自己負担の自治体もあり足並みがそろっていません。

65歳以上の高齢者には全員、50歳以上の糖尿病などの代謝性疾患や、気管支ぜんそくやたばこが原因で起こるとされている肺気腫などの慢性閉塞性肺疾患などの方にはぜひ接種をしてほしいのです。

1度、接種すると5年間有効ですので5年経過したら追加の接種を忘れないようにしてください。

この冬のインフルエンザの予防接種も済ませて、安心して冬を迎えましょう。

肺炎もインフルエンザも死に至る可能性を高める病気だから、予防接種があるという現実を正しく認識してください。


『社団法人島根県シルバー人材センター連合会の広報誌』より

第313段:自身の人間ドック受診した

松本医院のお盆休みの間に、自分自身が益田医師会病院の人間ド​ックを受診しました。年齢にふさわしくいろいろな病気を持ってい​ますから、血液検査などは定期的に実施しています。しかし、やは​り他の医師の目や手で体をチェックしないと本当のことは分かりま​せん。便の潜血反応のための2日分の検体を持って出かけました。
 受付で待っていると健診を受けられる顔見知りの方から「あれ、​先生も健診ですか?」と声がかかります。「年末年始は病院も休み​だから、お盆にこうして人間ドックなのですよ」
 検査着に着替えて尿の採取、身長、体重、腹囲の測定、採血、胸​部CT、腹部超音波、上部消化管のスコープ検査、頭部MRIなど​と順番に検査が進みます。一通り検査が済むと、血液検査などすぐ​に結果のわかる項目を元に診察が始まります。まあ昨年と大差はな​い結果でしたが、「便潜血反応の2本の内の1本に潜血反応が陽性​に出ています、精密検査は受けられますね。今日予約して帰られま​すか?」との問いかけに「もちろん予約して帰ります」と答えまし​た。

 精密検査が必要だと言われて動揺したのか、最後の認知機能の検​査は全問正解とならずショックが追い打ちをかけてしまいました。​もちろん認知症とは程遠い検査結果でしたが足取りの重い帰り道で​した。
 人間ドックを受けてから細密検査までの2週間、やはり自分も人​の子ですから、色々と考えました。「精密検査できっちり病気が見​つかったら、それで処置しておしまいの方がいいよな、どこにも異​常がなかったら潜血反応の陽性の原因探しが始まってあれこれ検査​が続くし、今後も何かあると気にかかるようになるから、精神的に​も良くないかな?」などと考えている自分に気がつきました。
 健診結果の解釈は様々ですし異常なしといわれても、自覚症状が​あったりすると見落としではないかとか色々考えてしまいます。毎​年のように生活習慣を変えましょうと指摘されても、一向に悪化の​兆しがなければ生活習慣を変えることなく悪化への道を歩んでいる​方も少なくないようです。
 健診は受けているけど結果は確認していない、精密検診に行って​もいつもと同じ指導内容だから再検査には行かないとか、せっかく​受けた健診が無駄になっている方も少なくありません。
日本では5歳の子供以外はすべての年齢で年に1回は健康診断を受​けるように法律が整備されています。この健診さえも受けずに自分​は健康だと錯覚したり、病気があることを認めたくないから健診を​受けないという方も少なくありません。葬儀の時に「健診も受けて​いなかったから・・・」という言葉にならないようにして下さい。
 2週間後の精密検査では心配した所見もなく「来年また検査を受​けます」と私は答えて午後の診療に戻りました。

『いわみ談話室』より

インフルエンザの知識

毎年、冬季に流行する弱毒型インフルエンザは人口1億2000万人の日本では800万人から1200万人が1シーズンに感染して1万人から3万人が死んでいます。
ですからインフルエンザの流行は大問題です。{交通事故死亡者(1万人程度)よりも多いですし、死亡者3万人の自殺者数に匹敵します。}
死亡者が増える病気だから予防接種を行います。

弱毒型インフルエンザは鼻やのど、気管支や気管、肺などの呼吸器(咳や痰や鼻水の症状)と胃腸の消化管(下痢や嘔吐の症状)などにウイルスが進入して増殖します。{よく知られた、香港型、ソ連型、今回の北米型(豚インフルエンザ)など}タミフル、リレンザ、漢方薬の麻黄湯が有効です。

強毒型インフルエンザは肝臓や腎臓など呼吸器や消化器だけでなくウイルスが全身に進入して体に障害を起こします。{トリインフルエンザなど}

【予防にマスクは無効!】
インフルエンザに感染した人が他人にうつさないためにマスクをすることは必要ですが、自分がインフルエンザにかからないようにするためにマスクをするのは意味がありません。
日本だけの奇怪な現象です。(鼻だけ出したり、緩めのマスクなど)
患者が多く集まる病院で医療従事者がきちんとしたマスクをするのは理にかなっています。

【手洗いが重要!】
感染予防には手洗いが重要1日に何度も手を洗いましょう。
手首まで洗わないと無意味です。
30秒は手を洗いましょう。

【うがいも有効!】
安全で比較的効果が認められるものとしては、紅茶でのうがいは有効性があるようです。
塩水のうがいと普通の水のうがいには差はありませんので、わざわざ塩を入れてうがいしても無意味です。

ポピドンヨ―ド(茶色の臭いのあるうがい薬)のうがい薬は薬を飲み込む可能性があり、胃腸の中の体に有効な細菌を殺す可能性があるので積極的にはお勧めできません。

【肺炎の予防接種が意外な効果あり!】
インフルエンザにかかると抵抗力が落ちて肺炎を合併して死ぬことが多いので、65歳以上の人は肺炎球菌ワクチンの接種を勧めています。
1回接種すると5年間有効で7,000円から8,000円ぐらいで接種しています。
健康保険は使えません。
もちろんインフルエンザワクチンはきちんと接種しておきましょう。

【いつまで休むの?】
一度感染したら薬を使ってすぐに解熱しても患者は5日間もウイルスを排出し続けます。
2・3日後にやっと解熱しても発熱中はもちろん、解熱後3日間はウイルスを排出し続けていますので、職場や学校、保育園や幼稚園など集団生活の場へは出られません。
休ませる必要があります。
(発症24時間前ぐらいの潜伏期間中にも他の人に感染させる可能性があります。通常は7日以内にはウイルスの排出は少なくなるといわれています)

【手洗いとうがいのタイミング】
家から出るとき必ず手洗いうがいをして出かけましょう。
外から帰ったら必ず手洗いうがいをしましょう。
目的地(職場や学校、訪問先など)に着いたら必ず手洗いうがいをしましょう。
目的地(職場や学校、訪問先など)から出発するときにも必ず手洗いうがいをしましょう。
なぜなら
もしも、あなたの家庭の中に既にウイルスが入っていて
あなたや家族がインフルエンザに感染していて潜伏期間中でしたら、
あなたの家からウイルスを持ち出さずに済みます。
目的地に着くまでに汚染されていても、手洗いうがいで目的地の中には
持ち込まないで済みます。

【家族や近親者に感染者が現れたとき】
看病をしていて患者に接近して体に何度も触れた人が次の感染者になる可能性が高まります。

【結局】
1に手洗い、2に避接触、3に清潔、4に避疲労、かかったら安静休養
プロフィール

taijindo

Author:taijindo
島根県益田市にある松本医院(内科・小児科・アレルギー科)の院長です。

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