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消えたインフルエンザ治療薬

1999年末に輸入承認を得たインフルエンザ治療薬「リレンザ」(ザナミビル)は健康保険の薬価基準収載を当面、見送ることが決定されました。
私の得た情報では日本医師会と日本薬剤師会が現時点での薬価収載に消極的な姿勢を示したからのようです。

すでにオーストラリアでは昨年つまり1999年の6~7月ごろの南半球の冬の時期に使用され大きな効果をあげていることがわかっていてのに販売できませんでした。
幸い1999年から2000年にかけての冬の時期にはインフルエンザの大流行はありませんでしたが、どうして発売されなかったのか疑問でなりません。多くの医師が期待しておられましたが夢は叶いませんでした。

2000年~2001年にかけての冬の時期はインフルエンザの大流行が予測されます。予防にはやはりインフルエンザワクチンです。

松本医院では8月の下旬から予約を受けつけます。リレンザは非常によく効く薬です。つぎの流行期には是非使えるようにしていただきたいと思います。
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第278段:教えることは教わること

「アレー?いつもと違うよ」とそっと診察室をのぞき込んだ子どもの声がします。
5月末から始まった島根大学医学部の地域医療実習の学生が私の診察室の中にいたからです。
一人の学生が3週間、大学病院以外の地域の病院や診療所などの医療機関で、大学では味わえないような経験をしています。
私の診療所でも1週間と、2週間コースを受け入れました。

この実習は、大学病院では経験できない様々な医療の側面を学習し、医療全体を見渡すことのできる広い視点を養い、医療の本質に対する理解を深めることである、とされています。
そして、この実習にはもう一つの側面があり、へき地等で勤務する医師を育成したいという希望があるようです。

以前から指摘されていた医師不足は、ここ2・3年拍車をかけるような法律の改正があり、石見地方だけでなく全国的な医師不足をつくり出しました。
このため、アメリカで医師不足の地域で実際に行われている実習教育をモデルに、島根大学医学部が日本でも先駆的な取り組みとして始めたわけです。

田舎の私の小さな診療所では子どもから老人まで受診される年齢層も広く、単純に内科や小児科の病気だけではありません。
もちろん専門的な診断や治療が必要な場合は専門医にお願いしますが、症状が落ち着いたり、軽症の場合には私のところで何とか対応しなければなりません。
「医師が一人の総合病院」になるわけです。
こんなところが私の診療所での実習のポイントとなります。

狭い診察室の中で私と患者さんとのやり取りを聞き、患者さんの検査結果を一緒に考え、私の診察前に学生が直接、受診までのいきさつを聞き、時間が空けばお互いで討論を繰り返します。

診察室だけの実習ではなく、老人ホームやグループホーム、へき地診療所、いくつかの事業所の産業医としての活動の現場にも出掛けてもらいました。
夕方になっても終わらない日がありました。

開業医の1日は通常の診療が終わってからも夜間に会議などが待っています。
この会議にも医師会の許可を得て出席してもらいました。
その場で多くの他の医師たちとも交流が出来たことも非常にプラスになったようでした。

一方、患者さんの方はいつもと勝手が違うために、戸惑われ、相談事を忘れる、みんなに取り囲まれている感じで、うまく喋れなかったというような場面も少なくありませんでした。このあたりが次回からの検討課題です。

手探りで始まった実習でしたが、私にとってもよい勉強の機会になりました。
医学生の診察態度や言葉使いなどは、私が受けた20世紀の医学教育とは一線を画していましたし、長年にわたる診療でなんとなくわかっているような気になって、患者さんの訴えを聞いていなかったなあと反省し、「教えることは教わること」という言葉を思い出しました。

夏休みが終わると9月から最後のグループが実習にやってきます。

「いわみ談話室」から

医の倫理綱領

平成12年2月2日日本医師会は約50年ぶりに医の倫理綱領を改定しました。
今回はそれを紹介します。

医学および医療は、病める人の治療はもとより、人びとの健康の維持もしくは増進を図るもので、医師は責任の重大性を認識し、人類愛を基にすべての人に奉仕するものである。

1.医師は生涯学習の精神を保ち、つねに医学の知識と技術の習得に努めるとともに、その進歩発展に尽くす。

2.医師はこの職業の尊厳と責任を自覚し、教養を深め、人格を高めるように心掛ける。

3.医師は医療を受ける人びとの人格を尊重し、やさしい心で接するとともに、医療内容についてよく説明をし、信頼を得るように努める。

4.医師は互いに尊敬し、医療関係者と協力して医療に尽くす。

5.医師は医療の公共性を重んじ、医療を通じて社会の発展に尽くすとともに、法規範の遵守および法秩序の形成に努める。

6.医師は医業にあたって営利を目的としない。

日本医師会員にはそれぞれ注釈のついた説明書が届いております。ここに改めて公表しますので、あなたからもご批判を戴きたいと思います。

第277段:食卓の話題

日本の食卓の食材の多くが輸入品であることは良く知られています。
特に穀物は日本の穀物自給率が24%でOECD(経済協力開発機構)加盟国30カ国の中ではアイスランドの0%についでの2位ですが、同じ加盟国でお隣の韓国も27%と日本に近い状態です。
(国民1人あたりの穀物輸入量では日本は216kg、韓国は289kg)
自給率や農業問題はこのコラムの趣旨ではありませんから他の方にお任せしておきます。

食べている穀物の内容を国別に見てみるとコメの国民一人当たりの消費量が1番多いのはミャンマーで年間約200kg、2位はベトナム、3位はラオスで共に約170kgと続き、日本は29位で57.7kg(自給率は92.7%)、世界の平均は192カ国で57.3kgですから世界の平均的なコメの消費量と日本の消費量がほぼ同じいうところです。
意外と日本人がコメを食べていないと感じるか、世界的にはコメは結構食べられていると感じるか、如何でしょうか?

同様に小麦の消費量を見ると1位はキルギス約220kg、2位はトルクメニスタンで約210kg、世界平均が67.0kg、日本は43.4kgで113位でした。世界の平均ではコメの57.3kgと小麦の67.0kgですから1ヶ月で1kgにもならない差です。
私にとっては意外な結果でしたがあなたはどのように感じますか?

小麦といえばパンと思いますが、様々なパスタ、和食では「うどん」も「そうめん」も小麦粉ですし、ラーメンも小麦粉ですからから結構食べているはずですが、世界的に見ると日本人は小麦を食べていないのですね。飢餓に苦しんでいる国の数字も含めての消費量ですから穀物全体を食べていないという結果なのでしょう。

大量諸費される穀物のもう一つ、トウモロコシの消費は1位がレソトで約170kg、世界平均は17.7kg、日本は80位の10.8kgでした。砂糖類の消費は1位がアメリカ約70kg、2位がキューバで約60kg、日本は95位で29.4kg、世界平均は25.5kgでした。なんと、1日あたりアメリカ人は196gの砂糖類を食べている勘定です。
日本人は半分以下の80g程度ですが人種的にモンゴロイド(日本人が含まれる)やアーリア系人種といわれるアジア系の人たちは糖尿病になりやすいので砂糖類の摂取は控えないと健康を維持できません。コーヒーや紅茶を飲むときに使用する平均的なスティックシュガーが1本6グラムですから、それを元にお菓子や食事ではいる砂糖類の量を想像してください。

医食同源という言葉もあるように、どんなものを食べているかが健康を左右していることはすでにご承知のことだと思います。
生活習慣病の食事療法では穀物を多く食べるように指導されていますが、日本人の穀物の食べ方が多いほうではないということがわかると思います。

たんぱく質の摂取では魚介類を食べるように指導されることが多いのですが、魚介類は1位がモルディブで約190kg、2位がアイスランドで約90kg、4位が日本で66.3kg、世界平均は16.3kgです。あれれ?コメは日本では一人当たり57.7kgで魚介類は66.3kg、ご飯よりも魚をたくさん食べている?
これに牛肉8.6kg(80位)、豚肉18.9kg(40位)、鶏肉16.9kg(66位)が加わったら主食がご飯じゃなくなってしまうと考えませんか?

最近の日本の食卓では主食といわれたコメが嫌われ、副食と呼ばれる肉や魚のおかずの方がたくさん食べられているのです。
もちろんコメはご飯にする前の水を加えていない重さですし、魚介類は調理する前の重さで骨なども含んでいますから多少の変動はありますが、昭和30年代に比べると現在では「主食がおかず」、「副食が穀物」という状況ではないでしょうか?

日本の食卓を象徴するのは実は卵です。
なんと消費量は日本が世界1位で19.1kgですから1年間に約300個以上食べています。
(国内での自給率は96%)
世界平均の8.4kgを軽く2倍以上超えています。

日本を含めた先進国では、油脂類と砂糖の過剰摂取が様々な病気を引き起こすとされています。食事に美味しさを求めると油と砂糖さらに塩分を必要としてきます。
豊かさを食事で実現すると糖尿病などの生活習慣病の危険度が増すというわけです。

様々な統計をみていると日本人の食生活や生活習慣は改善の余地が十分にあり、まだまだ元気で長生きの健康寿命が伸ばせそうです。
禁煙を始めとして運動やアルコールなどの話題を食卓に出していただくと喜びます。

アトピー性皮膚炎の新しい薬

最近の新しい薬には目を驚かされます。
昨年新たに発売されたプロトピック軟膏がそれです。
アトピー性皮膚炎の患者さん(使用できるのは16歳以上です。)の顔面に使用して戴いております。色々と問題にされている副腎皮質ホルモン(ステロイド)ではなく、免疫抑制剤のFK506と呼ばれている薬を軟膏にしたものです。

この薬は茨城県の筑波山の山麓の土壌から分離された放線菌が産生する化合物で免疫抑制作用が優れていて、すでに肝移植、腎移植、骨髄移植などの現場で移植後の拒絶反応を調節するために使用されていました。
様々な研究からアトピー性皮膚炎などで活性化T細胞が関与するアレルギー反応にも有効であることがわかり、綿密な試験の結果発売となりました。

数人の成人のアトピー性皮膚炎の方に使用してみました。
効果はすばらしくある男性は「ここ10年くらいでは最高の皮膚のコンディションになりました。」と話されています。
小児には今のところ使用が許可になっていませんが、安全性を確認できたら許可を戴きたいというのが本音です。

第276段:改まらない生活習慣

インフルエンザのシーズンの後半から花粉症の患者さんが増え始め、多忙な日が続きました。
3月に入ると少しばかり診察時間に余裕ができ、定期的に受診される生活習慣病とも呼ばれる糖尿病や高血圧症の方々との会話が長くなります。
忙しい時期には検査結果の説明や日常生活の注意をして質問がないかを聞けば診察終了ですが、暇になれば少しばかり診察にも工夫を加えます。

「今日の体重は昨年と比べて1kg増えていますね。一昨年と比べると2.5kg増えていますよ。原因はどこにあるのでしょうか?」と問いかけます。

体重1kgの増加は365日に分ければ、わずか1日で2.7gほどです、肥満の体重増加の大半は皮下脂肪ですが、1kgの皮下脂肪は約7000キロカロリーに相当します。
1年では1日20キロカロリー程度の摂取過多か消費不足です。体重60kgの人なら1日5分の歩行時間のカロリー消費ですし、食べ物ならピーナッツの3・4粒の量です。

「食べるといけないのも知っているよ、運動不足は百も承知、塩気の多いのもだめ。脂っこいのもね。でもうまさには負けちゃうね、酒も付き合いだし、気持ちは控えちゃいるけどまだ多いね。先生、一粒飲んだらパーッと合格点になるような薬を発明してよ」などと大同小異の答えが返ってきます。暇な時期ですから、ここから勝負です。

「朝起きて、夜寝るまでに絶対欠かさない行動がありますね。食事、トイレ、仕事あ
るいは、傍から見ると趣味や癖、儀式としか思えないような独自の行動ですけど、これらはあなたにとってはすごく満足度の高い行動なのですよ。ところが、いわゆる生活習慣病の改善に役立つような運動や食べ方は自分にとって重要と思えない、あるいは快適なことや喜びに直接的に結びつかないから知識はあっても行動が起こせないのですよ」と切り返していました。

気がつけば医者の私が患者さんを追い詰めている。
「わかっちゃいるけど、毎日の行動を変えることって難しいですよ、僕だって生活習慣病の塊で何も出来ていませんから」と続けて、患者さんの立場を理解していることを示さないと診療が続きません。

流れていく時間の中で今はこれをしたい、今度の仕事は断れないなどと行動していると運動の時間などは消えてしまいます。食べ始めたら食欲の固まりになり、もったいないと食べつくすまで口や手が動き続ける、食後に訪れる幸福感、その後、食べてしまったという罪悪感がわずかに出てくるが、食事を制限するのは次の食事、あるいは明日からと自分に言い聞かせてしまう。そんな行動を繰り返しながら生活習慣病は進行してゆきます。

タバコは止めて何年もたつのに、あのころタバコを吸うために使っていた無駄な時間はどこに・・・健康のために行動する時間を作ってみましょう。

1分作るとそれが5分になりやがて生活の中に健康のための時間が確立します。そんなことに気がついてもらって、「何か一つ行動を変えてみましょう」という話が出てきたら診療は終了。

でも、次の診察日にはご破算になっているのが生活習慣なのです。

「いわみ談話室」から

平成12年の花粉症予測

平成12年春のスギ花粉症の予測が発表され始めました。
いくつかの予測で明らかになっていることは今年は「東高西低」つまり東日本のスギ花粉は非常に多く最近では大飛散(悲惨)の年だった平成7年に匹敵するかそれを上回る可能性のあるのが、関東地方です。
九州地方は非常にスギ花粉が少ない傾向があるようです。

益田市では秋に少しスギ花粉が飛散し数人の患者さんが受診されましたし、私自身も少し症状が現れました。
このような秋のあとの翌年の春は意外とスギ花粉が多いのも事実です。益田地域は今年もバレンタインディ頃から本格的なスギ花粉の飛散になりそうです。

あなたの準備はできていますか?

あらかじめ受診をされそれなりの対策をされた方がよいと思います。
花粉症は治らない病気ですが、薬を使用すれば花粉症でない人と同じような生活が送れます。
眠気の少ない薬や眠気と縁のない漢方薬も即効性があリ極めて有効です。我慢しないでご相談下さい。

第275段:病人が元気を振りまく→患者主導で手作り寄席

「久しぶりにおなかを抱えて笑いましたよ。また来年も楽しみにしています」。帰りがけにさまざまな方から声をかけていただきました。平成14年から11月になると益田市横田町の「のぞみの里」で寄席が催されています。お世話をするのは私の診療所の糖尿病の患者会のメンバーとボランティアスタッフです。糖尿病の患者会という組織は社団法人日本糖尿病協会の支部組織が各都道府県にありその支部に医療機関や地域ぐるみの会で構成された患者さんや家族と糖尿病の療養指導に関心を持つ人たちの会で、お互いの励ましあいや正しい情報交換の場を持つことを目的にしています。勉強会も必要ですが、お互いが仲良くなることも大切で、患者会ではバス旅行などのレクレーションなども開催しています。

病気だからお互いが励ましあうだけとか、何かをしてもらう受身の立場から、患者という自分たちのネットワークを活用して行動をしてみようという考えから、以前からバザーを開いたりしていました。たまたま私が寄席の関係者と知り合うチャンスがあり患者会の方々に寄席のお話を紹介したら「笑う寄席なら楽しいから是非やりましょう。チケットは患者会でさばきましょう。受付や接待も患者会の方々で出来ることはやりますよ。」との返事でした。

病気を持つ人が、他の病人や元気な人をもっと元気にするために笑わせるボランティアをする。こんな考え方で寄席をやろうと決まりました。落語一つじゃ寂しいから、お囃子(はやし)も実際に説明を聞きながら生演奏してもらい、前座の落語、紙切り、太神楽の曲芸、真打の落語と寄席演芸を堪能してもらおうと、企画しました。

「せっかくだから高座もきちんと作り、本格的にやりましょう」と、とんとん拍子に話は進みます。ポスターもチケットも患者会の方針を聞いて引き受けてくださる方が出てきます。会場の前のほうは畳を敷いて寄席らしく、会場の後ろのほうは足の悪い人のためにいす子席にしてとみんなで知恵を出し合いました。

1ヶ月ほど前から本格的な用意が始まりました。整理券は患者会のメンバーにお任せしましたが、またたくまにチケットがなくなりました。さて当日。2度目、3度目でも初めてと同じです。落語協会の関係者が会場に到着し、会場の準備に合格点が出たのでホット一息。

開演1時間前頃からそろそろ人が集まりました。来場される方の車の誘導や脱がれた靴の整理、会場内の案内は患者会の会員やボランティアの仕事です。開演の時間には患者会の方たちも入場してみんなで演芸を楽しみました。

大入り満員ですから、隣の人が体をゆすって笑われると自分もつられて笑い出します。笑いの連鎖反応でどんどん笑いが大きくなります。高座の上の芸がさらに大きく楽しくなっていきます。お互いが楽しさを増幅しているのが良く分かりました。お世話をされた方々の苦労が笑いで消えてゆきます。

患者会や病気を通してお世話される方から、お世話する方に替わることで自分の気持ちは大きく変わります。今年も秋に開催予定の寄席を成功させるために、病人が元気と笑いを振りまきはじめます。「笑う門には福来る」

コンピューター西暦200年問題と医療機関

Y2K問題とかコンピューター西暦2000年問題などと呼ばれているコンピューターの西暦2000年を境にした動作不良のことだということは、私よりもあなたの方がよく知っておられるかもしれませんね。

医療機関にも昨年あたりから対策と対応をするように再三指示が来ています。
厚生省から、島根県から保健所を通じて、日本医師会からも、都道府県医師会からも、連絡文書の山です。
事故が起こればすべて各医療機関の責任だそうです。
対策ができたかどうかと問い合わせて大騒ぎをしている「いわゆるお上」の責任はないそうです。なんだか変ですね。

私の診療所は取り敢えず対策はすべて終わりました。
動作の確認をするまでもなくマイクロチップの搭載された機器については全てのメーカーから問題なしとの回答がありました。

それでも心配な患者さんは暮れの30日までに受診を済ませ、お薬を2週間かまたはそれ以上投薬してもらってください。

1月4日とそれ以降の1週間程度はトラブルが起こるとすぐには立ち直れない可能性があるからです。
製薬メーカーや医療関連の卸店などからも絶対大丈夫という回答は戴いておりませんし、物流関連からも太鼓判は押してもらっておりません。

直接患者さんに使用している機械は正常に作動すると思いますが、医療を支える側の支援システムの問題が発生するかもしれません。

もう一つ心配なのはこの不安を煽る(あおる)風潮が患者さんたちの精神不安を引き起こし日本中とか世界中の不安発作を引き起こす可能性があることです。
パニック状態になった患者さんが、必要以上に受診したり、そのために一時を争う患者さんの医療に支障をきたす可能性があります。
暮れのうちに薬をもらっておこうとする患者さんの心理が働くと12月の20日ごろから医療機関の外来は大混雑となりそのためのシステムダウンも考えられますし、在庫の不足から混乱に拍車をかける可能性もありどうなるか見当もつきません。「大山鳴動、鼠一匹」になることを祈りながらの毎日です。

12月になり家庭での備蓄を中心とした消費行動が始まると、在庫が一気に減少するため混乱が生じる可能性もあります。いずれにしても過剰な反応でパニックだけは回避したいと誰もが考えておられると思います。

パニックに巻き込まれたら私の好きな良寛さんの言葉を思い出してください。

      「災難に会う時節には災難に逢うがよく候う、
         死ぬ時節には死ぬがよく候う
           是れはこれ災難をのがるる妙方にて候う」

昭和14年から昭和15年にかけては皇紀2600年を迎えたはずですが、こんなに騒いでいたのでしょうか?
はしゃいでいないで足元を見て生活しましょう。

第274段:禁煙推進に新アプローチ(薬とタバコの飲み始め)

「先生、この薬を飲みだしたら一生飲み続けないといけないのでしょう?薬漬けになるみたいで嫌です!」と患者さん、「あぁ、あなたもそう考えますか?生活習慣病にかかわるお薬の時には、あなたのような治療に対するイメージを持っている人が多いので、あなた以外の多くの方からも同じような感想を聞いていますよ」と答える私。長く飲み続ける薬を開始するときには飲まされるほうの患者さんは不安でなりません。この先何年も通院しながら毎日薬を飲まされるのかと思うと、大変な負担を強いられることになりますね。

 薬を長く飲むために起こるかもしれない副作用も心配でしょう。決して安くない医療費がかかり続けることも心配の重大な点だと思います。出来るだけ薬を飲まないで頑張ってみようと考えられた患者さんは「先生!もう1回!もう1回だけ、塩分気をつけて甘いもの我慢して、運動して、体重減らして頑張るから、薬は勘弁して!」とお願いされます。「じゃあ、それを何ヶ月やって効果の判定をしましょうか?」と追い詰めてしまう私。それっきり受診は途絶えてしまう方、頑張れないと納得して薬を飲み始める方、約束の数ヵ月後に目標を達成できなくて仕方なく薬物療法に入られる方など様々です。

 お薬、怖いですか?近視や遠視、乱視やいわゆる老眼などで視力の落ちた人は眼鏡やコンタクトレンズを使用していますが、薬も同じように考えていてだけませんか?難聴の方の補聴器も同じ使い方ですね。

眼鏡や補聴器は体の外側に付けて体の不自由さや老化の状態を改善する道具、飲む薬は体の内側の様々な臓器にいろいろな働きを持つ道具を取り付けさせると考えたらどうでしょうか?

毎日薬を飲むと言う行為はその装置が外れやすいからと考えていただきたいのです。「一回飲んだら後の世話が不要な都合のいい薬はないですか?」と聞かれる方が多いのも事実です。

 ここまでの話の薬をタバコに置き換えてみるとどうでしょう?タバコを始めるときには薬ほど敷居は高くなかったですよね。費用のこともあまり心配しませんでした。何度も密かにちょっとだけの禁煙に挑戦しましたか?まだ吸っていますか?一回だけとか、ちょっとだけという言葉で始めて、いつの間にかニコチン中毒になってしまいましたねえ。

益田市の実施している「健康ますだ21」の取り組みも4年目を迎えました。自治会ごとに取り組んだ3年間の課題は「栄養・食生活と歯科保健部会」、「たばこと酒部会」、「運動とストレス部会」でしたが、今年からはそれぞれの自治会は前の3年間とは別のテーマに取り組むことになり再出発です。タバコと酒の部会も新たな地区で再出発となりました。「習慣になりにくい薬とすぐに中毒になりやめられないタバコ」というような今までとは異なるアプローチで禁煙推進をしてみたいと考えています。実際に地域の活動に参加してみると、タバコの害の話は良く知っているから聞きたくない(だから活動に参加しない)、喫煙できる場所が減り始めて迷惑している、タバコを吸う人にも権利があるなどと様々な意見を頂戴しており、それぞれに回答をお返しする予定です。

中毒や副作用の多いタバコには比較的気楽に踏み込まれる方も、安全なお薬にはなぜか踏み込めない。そんな矛盾を感じながらこれからもタバコ問題に取り組みます。

9月はガン征圧月間です。

ー役に立つー「がん読本」からその一部を紹介しましょう。

1998年のわが国の死亡者は936,480人です。
そのうち「がん」による死亡は283,827人で1981年以来、心臓病や脳卒中を追い抜いて死因の第1位を続けています。第2位は心臓病で140,174人、第3位は脳卒中などで138,697人(自殺は第6位で23,494人)でした。
働き盛りの壮年層では5人に2人が「がん」でなくなっており大変高率です。

部位別死亡割合は1998年に「肺がん」が「胃がん」を抜いてトップになりました。
男女別に推移を見ると、男性は93年に「肺がん」がトップになり、98年には「肺がん」が21.4%、「胃がん」が19.1%となっています。全体に「がん」での死亡数が増えそうで女性の「肺がん」もやがて「胃がん」を抜いてトップになりそうです。

「がん」の発生原因はいろいろありますが、最近の研究では環境の因子(食物、喫煙、飲酒、放射線、紫外線、大気汚染、薬剤、ウイルスなど)のほうが体の因子(性、年齢、遺伝子、免疫異常、ホルモン代謝異常など)よりも強く関係していることがわかっています。

日本人の場合食物が20%ぐらい、タバコも20%ぐらいといわれています。
これはアメリカの調査では合わせて65%を超えるという調査がありますが、日本人が魚や野菜を良く食べるために生活習慣の中の食事の占める割合が小さくなっているためです。
健康的な日本食を中心とした食事が「がん」を防いでいるわけです。

国立がんセンターで制定された「がん」を防ぐための12か条を確認してください。

1.バランスのとれた栄養をとる
2.毎日、変化のある食生活を
3.食べすぎをさけ、脂肪はひかえめに
4.お酒はほどほどに
5.たばこは吸わないように
6.食べものから適量のビタミンと繊維質のものを多くとる
7.塩辛いものは少なめに、あまり熱いものはさましてから
8.焦げた部分はさける
9.かびのはえたものに注意
10.日光に当たりすぎない
11.適度にスポーツをする
12.体を清潔に

資料は財団法人、島根県環境保健公社から提供をいただきました。
ありがとうございました。

岩波新書から出版されている「がんの予防」新版、小林博著(本体660円+税)を読まれるとさらに詳しく書かれています。
非常に参考になる本です。ちょっとむずかしいかもしれませんが、医師として読んでみて面白いと思いました。

第273段:「命」診限るべからず

「アーッ、やっぱり年を越えられんかったねえ」夫の死亡を私に告げられた妻の発した言葉でした。死亡日時は12月31日午後8時過ぎでした。暑い8月のある日の昼下がり、急速に衰弱してきた夫の往診の依頼があり訪問してみると、とてもあと3ヶ月は持ちそうにないと感じられたのですが、「奥さん、年は越えられそうにないですね」と少し長めに予想を1回だけお話してあったからです。その後、秋の涼しさにも助けられたのか予想ほどには衰弱が進まず、年末になって「ひょっとすると」と、私も家族も考えていたようでしたが、やはり無理でした。「先生の診立てどおりで、やっぱり年を越えることはできんかった。ひょっとすると外れるかもしれんと思うとったのに」
「えっ、あのときの言葉をはっきりと意識しておられたのだっ」と私は恐れ入りました。
病状が悪化すると患者さんの家族からは「あとどのくらい持つのでしょうか?」としばしば聞かれます。以前は「あと一ヶ月ぐらいですね」とか「3ヶ月ぐらいじゃないかと思います」と当てずっぽうの答えをしていましたが、結構当たるものでそれなりに診立てが当たるものだと勝手に思っていました。
あるとき大学の先輩と話をしていたら「あと5年は大丈夫」と説明しておいた患者さんが「あと5年しか生きられない」と誤解して診察に来るたびに「あと5年といわれて1年たったからあと4年ですね」というように毎回計算しながら通院されていて5年目で亡くなってしまったと聞かされました。「ご遺体を解剖させていただいたけど、どこにも死に至るような病変は見当たらなかった。5年という日を区切って理解されて、その日が過ぎたら燃え尽きてしまったようだ」という話を聞かされました。
あと何日、あと何ヶ月と月日を区切ることで本人も周囲の人もタイムセットをしてしまい、その日時に合わせようとする意識が無意識のうちに働くのではないか、あるいはそれを否定しようとして逆にその日時を意識し始めるのはないかという思いに達した私は、それ以来「どのくらいも持ちそうですか?」と聞かれると、「私にはわかりません。易者さんでも見てもらったらどうですか」と答えることにしています。なおも食い下がられるとタイムセットされてしまうことを話して答えることをお断りします。
「今週がやまだ」とか、「ここ一両日が限界」というふうに聞かされて、何度となく病床を訪れ、これが最後と思いながら、死んで欲しくないという気持ちや、やがて来る日に備えての心構えとか、死後の段取りなどと様々な心配事が駆け巡り身も心も疲れ果ててしまう姿のほうが痛々しく見えてしまいます。
 「あと半年と主治医から言われたのに、あれから1年半、元気じゃないけど生きている、診立ては外れるもんですねえ」というような話もしばしば聞かされます。
医者の診立ても結構外れるものです。あと何日、あと何ヶ月と自分勝手に命を見限らず、病床の上でも笑いながら毎日を過ごすことのほうが大切なような気がします。
12月31日に夫を亡くされた奥さんは子に先立たれ、夫に先立たれ、その後、孫にも先立たれて夫の死後18年目に91歳のときに私が死亡診断書を書きました。もちろんあと何ヶ月の診立てはしませんでした。患者さんの命を見限るようなことは出来ませんからねえ。

「いわみ談話室」から

結核緊急事態宣言

最近の報道でご承知だと思いますが、結核の患者さんの数が増加傾向にあります。
厚生大臣から結核緊急事態宣言が出されましたのでご紹介します。
咳の長く続く方や体のだるさが続いている方、原因不明の発熱が続く方などは受診をお勧めします。

「結核緊急事態宣言」

結核は、かつて我が国において国民病と言われる時代がありましたが、国民の生活水準の向上や医学・医療の進歩、結核対策に携わってこられた関係者の献身的な努力により、以前に比べて大きく改善してきました。
このような状況の下、一般の国民のみならず医療関係者や行政担当者までもが、結核は既に我が国で克服された過去の病気であると錯覚してきたのではないでしょうか。

結核は決して過去の病気ではありません。
世界保健機関は、平成5年に結核の非常事態宣言を発表し、加盟各国に結核対策の強化を求めています。
我が国においても、平成9年で約4万2千人の新規結核患者が発生し、約2千7百人が結核で亡くなるという我が国最大の感染症であります。
さらに近年、多剤耐性結核の問題、多発する学校、医療機関、老人関係施設等における結核集団感染の問題、高齢者における結核患者の増加の問題、在日外国人における結核患者の問題等、緊急に対応を図らなければならない重要な課題が出現しております。また平成9年には、これまで減少を続けてきた新規発生結核患者数が38年ぶりに、罹患率が43年ぶりに増加に転じたことが明らかになっており、今後も引き続いて増加していく危険性が指摘されています。

現在の我が国の結核の状況は、今後、患者数が増加し多剤耐性結核がまん延する等、再興感染症として猛威をふるい続けるか否かの分岐点に立っており、まさに今日、医療関係者や行政担当者を含めた国民一人一人が結核を過去の病気として捉えるのを改め、国民の健康を脅かす大きな問題として取り組んでいかなければ、将来に大きな禍根を残すこととなります。

以上のことから、厚生省として、ここに結核緊急事態を宣言し、関係省庁、地方自治体や関係団体とともに、再興感染症としての結核問題の国民への普及啓発、健康診断を始めとする結核予防法に基づいた各種施策、結核発生動向調査事業や結核特別対策促進事業を強力に推進するとともに、国立療養所を拠点とする多剤耐性結核等への対応を含む専門医療体制を充実してまいります。

国民各位や関係団体等におかれても、結核の問題を再認識し、次のような対策の推進に取り組まれることを要請いたします。

 一 地方自治体におかれては、結核対策の最前線である保健所等の結核対策機能の強化、結核患者が発生した場合の危機管理の観点からの迅速かつ的確な対応、健康診断の実施の徹底等を図っていただきたいこと。

 一 医師会及び病院関係団体におかれては、傘下会員等に対して、結核の基本的知識の再確認、結核診療技術の向上、院内感染の予防、結核患者が発生した場合の適切な対応に向けての周知等を図っていただきたいこと。

 一 老人関係施設を始めとする施設の関係団体におかれては、傘下会員等に対して、施設内感染の予防、結核患者が発生した場合の適切な対応に向けての周知、健康診断の実施の徹底等を図っていただきたいこと。

 一 結核に関する研究機関や関係学会におかれては、結核の診断、治療等に関する研究と研修のより一層の推進を図っていただきたいこと。

 一 結核対策に取り組んでおられる各結核関係団体におかれては、正しい知識の普及を始めとする結核対策の推進により一層取り組んでいただきたいこと。

 一 国民各位におかれては、結核に関する正しい知識を理解され、健康診断を積極的に受診されるとともに、咳が続くような場合には風邪だと思い込むことなく医療機関を受診される等、結核の予防に努めていただきたいこと。

結核が国民病といわれていた時代に逆戻りさせず、国民の健康を結核の脅威から守っていくために、厚生省を始めとして関係省庁や地方公共団体、各種関係団体、国民一人一人が結核の問題を再認識し、我が国が一丸となって結核対策に取り組んでいくことが求められています。
私は、国民の一人一人が結核対策に御協力いただくことにより、我が国の結核対策は必ず成功し、結核を克服することができると確信いたしております。

重ねて皆様の御理解と御協力をお願いいたします。

平成11年7月26日               厚生大臣 宮下創平

第272段:終末期の希望を伝えて

「何かありましたら、こちらからご連絡いたします」という言葉が妙に耳に残ったまま建物の外に出て二人は車に向かい、私が無言のままで車を運転し始めました。しばらくすると母が「私の時には、あんなふうに管を使って栄養剤を入れたりしないでね」とぽつりと言いました。「うん、希望がかなうようにするよ」と答える私。その後、しばらく二人は無言のままでした。

遠縁の高齢の女性を特別養護老人ホームに面会に行って帰りのことでした。前回の面会時には認知症が進行していて、私たちが誰だか理解できていないのだろうと推測しながら帰った覚えがありました。それから数ヶ月、いや1年以上経過していたかしれません、食事が満足にできなくなって衰弱も進んだため、ご家族の了解もあったのでしょう、食事に代わって管を使っての栄養補給になっていました。子でも孫でもなく、身元引受人でない私たちには何の相談もないのが当然です。最後の面会になったその日から数ヶ月して訃報(ふほう)を受け取りました。

「自然界の動物の世界では自ら食べる能力がなくなったら、それで死んでしまうのだから、私も動物のように自然に死にたいから不必要な延命処置はしないで下さい」とリビングウイルに似たお願いをされる方も少なくありません。

1970年代から使われ始めたリビングウイルという言葉ですが、当時は「終末期に生命維持装置を付けられていた場合には、担当医に生命維持装置を外して自発呼吸ができるようにしてもらい、医療の介入なしに寿命がきたら自然に死を迎えたい」という患者の意思を書き残しておくための文書でした。76年にカリフォルニア州自然死法ができてから日本でも様々な取り組みがなされていますが、現在もなんら法の整備はされていません。

ご本人から終末期の医療のご希望を私が受け取っていても、家庭の事情や遠隔地での突発事故の場合にはご希望にそえなかったことも少なくありませんが、元気なときのご本人のご希望を家族の方々も良くご理解していただいている場合には、不必要と考えられる医療行為を止め、いわゆる自然な死をお迎えできるようにしています。(いかにご本人や家族の希望でも、日本の法律の枠を超える医療行為はしておりません)

もちろんご本人の希望ですから、「出来る限りの治療をしてください、機械につながれて生かされていると言われる状態でも、薬漬になっても、点滴などの管をたくさん付けてでも頑張らせてください、待っている内にいい治療法が見つかる可能性だってあるはずですから」とお願いされる方もあります。「その通り、あなたの生きかたを達成できるように頑張ります」と私は答えます。

私の診療所で使用しているカルテの片隅には患者さんの終末期の希望の内容が記載されています。しかしながら、実際のところはご本人に意思の確認が出来ていないことの方が多く、現場の私たちには「先生お任せします」と判断を押し付けられてしまいます。明確な目標がなく無意味と思えるような医療を続けることほどむなしいことはありません。終末期のご自分のご希望をお伝えくださると助かります。

C.A.P.P.訪問活動

人と動物とのふれあい運動(コンパニオン・アニマル・パートナーシップ・プログラム)の英語の頭文字をとってこう呼ばれています。
この運動は人と動物との絆を大切にする運動です。日本でも10年以上前から取り組みが始まり、益田市でも訪問活動が昨年から始まりました。

訪問活動は、獣医師(益田市では池内獣医科病院の池内豊・緑先生ご夫妻を中心に活動されています。)とボランティアが健康な動物(犬・猫・鳥・兎・ハムスターなど)をつれて各種福祉施設などを訪問し、ふれあいの場を設け、高齢者、児童、心身に障害のある方々に対して精神的な面とリハビリテーションの手助けをしています。
(益田市立養護老人ホーム「清月寮」には定期訪問中、益田市立老人保健施設「くにさき苑」には不定期訪問中、現在、更に別の施設への訪問活動を準備中です。)

社会や教育現場で、動物の持つ温もりや動物との接し方などを指導し、動物を通じて思いやりの心を育むことを願っています。

全国組織としては社団法人日本動物病院福祉協会(電話:03-3235-3251)という組織があり、益田市では池内獣医科病院(電話:0856-23-3630)で熱心な活動をされています。

池内先生と私(松本祐二)は共に益田西ロータリークラブのメンバーでクラブもこの運動の援助をしています。
こんな関係でトピックスのページに登場しました。

私が嘱託医をしている益田市立養護老人ホーム清月寮では昨年の10月から受け入れをしていただき入寮者の笑顔が増えたように思います。
職員の方々の感想でも「入寮者は訪問が楽しみで、以前よりも表情が豊かになった」などと話されています。
私達の活動状況では数字で効果を表すことはできませんが、手応えは十分です。

犬や猫などの健康管理、しつけなどは非常に丁寧にされており人間が病気をうつされるなどという事件は一度も起こっていませんし、訪問する動物は検便検査や健康診断を定期的に実施し、訪問前にはシャンプーもきちんと済ませており抜け毛やフケ、ノミなどの対策も十分な状態で訪問させています。
(笑い話ですが、「犬や猫のほうが病気をもらわないかな?」などと話しているくらいです。もちろん訪問する動物が体調を崩すとお休みします。)

一度に10頭以上の犬や猫が訪問しますが、よく躾られており泣き声や飛びつくような行動はまず起こしません。「百聞は一見にしかず」見学にどうぞ

第271段:「敬老の日」に感じたこと

「先生、やっと親父(おやじ)を超えられたよ」と、ニコニコ顔の男性が診察室のいすに座ると話し始めました。「何が超えたのですか」と聞くと、「昨日で 93歳と1ヶ月だから、親父が数え年の94歳と一月で死んだから、わしが昨日で寿命で勝ったのよ、あの親父には負けたくないと思っといたから嬉しいねえ」。「良かったですねえ、どんなお父さんでしたか?」と診察室の会話が弾んでゆきます。

その日はいつも以上に弁舌さわやかで「人は楽しみを持って、何でも良いように考えないとだめだねえ。頑固なのもいけない」と続きます。長寿の元気のもとを教わった感じでした。

この夏、訪問診療したあるお宅では「七夕近くの日にデイサービスに行ったら笹にいろんな願い事が書いてあってね。『寂しいからお父さん早く迎えに来て』という短冊を見つけてねえ、一緒にいた人と涙を流して、本当にそんな気分だねえと話していたのですよ」とまた涙を流しながらの話を聞いて帰ったことを思い出しました。

その日は私がゆっくり話を聞きそうな顔をしていたのでしょうか。次に訪れたお宅では一通りの診察が済むと、ベッドに横たわった女性から「私が四十の時に主人はあっという間に逝ってしまって、子供は私一人でほとんど育てたようなものです。あれから五十年もたつけどまだ迎えにも来てくれない。一体どうしたわけでしょう?」と質問を受けました。とっさに私は口から「ご主人はいい男だったでしょ。だから、あの世でいい人ができて、あなたを迎えに来るのを忘れてるのかもしれませんね」と答えてしまいました。「うん、うん、いい男だったからそうかもしれん、あの人なら他の人が放ってはおかん、あの世で放ったらかされて、すぐに私を迎えに来られたら、子供も育てられんかった。そうか、そうか」とさらりと受け流していただいて私は一安心しました。あんな答えに調子を合わせるだけの余裕があるからまだ大丈夫、と勝手に解釈して次の訪問先に向かいました。

80歳、90歳を超えてくると、「お迎えに来てほしい」と様々な形で訴えられる方が少なくないことを改めて思い出しました。

本年8月に厚生労働省から出された平成16年の簡易生命表では70歳の女性は平均であと18.98年、男性が14.51年、80歳の女性は 11.23年、男性は8.39年生きるとされています。この数字をお見せすると「まだ、そんなに生きなくてはいけないのですか?」というような意味合いの返事が少なくないのが現状です。90歳の女性なら平均であと5.69年、男性で4.36年という数字は様々な意味から辛い数字でもあるようです。

「いつまでもお元気で」という言葉を見るとガリバー旅行記の中のラグナグという国の話を思い出します。不死の人間は生き続けることに希望もなく、絶対に死ねないという前途を悲観し、周りで人々が次々と生まれては死んでいくことに深い嫉妬をしている様子を見てガリバーは自分の持つ不老不死の願望のむなしさに気付く話です。

目標や希望があって生き生きと長寿を更新する人、もうそろそろお迎えが来ても良いですよと淡々とした人、改めて高齢者を見直した9月の「敬老の日」でした。

喘息の新しいお薬(吸入薬と貼り薬)

昨年12月から日本で健康保険で使えるようになった気管支喘息の新しい薬が2種類あります。約6ヶ月間使用してその感想を紹介します。

1つは副腎皮質ホルモン(ステロイド)の吸入薬です。
フルタイドという薬でこれまでの吸入薬の副腎皮質ホルモンと異なり微細な粉薬を簡単な器具を使って吸入します。気管支喘息発作の回数が劇的に減り、多くの気管支喘息の患者さんが発作から縁遠い生活となりました。風邪を引く回数も激減しており驚異的な薬です。

しかも副作用がほとんどなく(副腎皮質ホルモン・ステロイドが毒だ!と騒いでいる人はこの現実を見てほしい。すばらしい効果です。)アレルギー科を標榜しておられ診療でこのフルタイドを使用されている複数の医師も絶賛しています。

ところが余りに効果が良いために薬を使うのを忘れ再び発作を起こしてしまう方も時にはあるようですが。(それはステロイドのためではなく、薬の使用を忘れたことによる発作です。この状態がステロイドに依存している状態と判断される方は「依存症」という言葉の定義を勉強してから反論してください。)

今まで使っていた吸入薬に比べ格段の差があるように思えます。
健康保険の規則で1回に1週間分だけしか処方できません。
コントロールが良くなった患者さんに毎週薬を取りに来てくださいなどというのは変ですよね。規則の変更が待たれます。(発売開始から2年を経過して安全だと確認されると2週間分が処方できるようになります。)

2つ目はホクナリンテープという貼り薬です。
むしろシールといっても良いくらいの大きさの気管支拡張剤を含んだテープです。大人用の2ミリグラム、子供用の1ミリグラム、0.5ミリグラムの3種類が発売になりました。この系統の気管支拡張剤は手が震えたり、胸がドキドキするなどの副作用がありましたが、貼り薬にすることでそれらの副作用をかなり減らすことに成功しました。

この薬の特徴は1回貼ると24時間テープを張りつづけ(入浴の前後で古いものをはがし新しいのを貼る)るため効果が24時間持続するという点です。

喘息発作は夜明け前に体の中で作られる副腎皮質ホルモンが一番少ないとき起こりやすいのですが、この時間帯には薬が十分に効いているため発作が起こりにくくなること、そのために安眠できる(子供の明け方の発作で親が起きなくても良くなるなどの点で大変喜ばれています。)ことなどで患者さんの生活がかなり楽になるようです。

フルタイドと同様に他の医師とも感想を交換しましたが、フルタイドと同じく高い評価でした。小児に使用するときには背骨のラインに沿って貼るのが良いようです。筋肉がついていないところなので窪みになっており、洋服とこすれ合いにくいのではがれにくい、背中なのでかゆがってかきむしってしまう可能性が少ない。(時にテープの粘着剤でかゆみを感じたり軽い皮膚炎を起こす方もありますが、効果の良さで現在まで使用をいやがられた方はありません。)

薬の説明書には胸、背中、上腕とかいてありますが、大人は理解ができても、小児の場合理解が不充分ですし、寝ていて掻く可能性がありますのでは背中の背すじに沿って上下に貼る位置を替えるのが良いでしょう。

この2種類の薬のおかげで気管支喘息の治療がかなり取り組みやすくなりました。
しかし、喘息そのものが完全に治るようになったわけではありません。
現在も気管支喘息が一瞬にして死を招く可能性がある病気であることには変わりありません。
いくらかコントロールがしやすくなっただけです。
誤解のないようにお願いします。

医師と良く相談し正しく喘息を理解して良い状態を保つようにして下さい。やがて治癒に繋がります。

第270段:ばら色の未来を

問診とひと通りの診察を終えて、私がしゃべりだしました。「やっぱり疲労蓄積ですね。朝練習をして授業を受けて、放課後の課外活動をして、12時間前後も学校や運動場などの敷地内に滞在しているし、休みの日も朝から晩まで練習や試合でしょ。労働者だったら時間外勤務が1ヶ月に100時間を越えたら、医師の面接を受けて時間外労働の短縮を求めてもらえるのですが、授業と課外活動じゃ一貫性がないから無理ですか?」困った様子の親子が私の目の前に並んでいます。「睡眠時間も6時間程度で、授業中もぼんやりしているみたいだったら何のための学校生活なの?」と畳み掛けてしまいました。

高校生の健康調査票を点検してみると「疲れている」「睡眠不足」というような項目には「しばしば」に印がついていることが多いのです。調査票にたくさんの訴えがある子どもにはケガや病気が蓄積していることも目立ちます。公共交通機関のサービスに乏しい地域では長距離の自転車通学ですから疲労は倍化します。家族の送迎にたよっている生徒も少なくありません。

睡眠時間を確保できないまま勉強や課外活動をこなして、1日24時間のうち食事や入浴などの生理的時間を差し引くと、どれだけの時間が残っているのだろうかと考え込んでしまいます。

平成14年2月に厚生労働省労働基準局長から「過重労働による健康障害防止のための総合対策について」が通達されてから既に3年余り、月100時間以上の時間外労働をしているか、あるいは2~6ヶ月間の1ヶ月平均の時間外労働時間が80時間を越える場合には医師(産業医)の面接による保健指導を受け適切な事後措置をとるようになっています。

私自身も益田地域での産業医活動や地域産業保健センター活動の中で、通達の内容に到達した長時間の時間外労働者の面接をしていますので、その疲労度が良くわかります。

時間外労働が多くなると、たまの休みの日にも気分転換に出かける気も起こらなくなり、ただひたすら休みたいというような気分になる人も少なくありません。元気なうちには運動やさまざまなレクレーションにも出かけられるのですが、時間外労働が続くと、「とにかく休みたい」の気持ちだけになってしまうようです。

高校生や中学生の場合は勉強と課外の活動だから、労働者のように同じ内容の負荷ではないのだから、余り問題ないのではと感じられる方もあるかもしれませんが、実態を調査してみると子供たちにかかっているプレッシャーは長時間の時間外労働者と大差はないようです。

1日2時間半余りを課外活動にまわしていれば30日で80時間を越えますから課外活動を時間外労働と考えるとあっという間にレッドカードということになります。前述の局長通達にはイエローカードとして時間外労働が1ヶ月に45時間を越えたところで「健康管理について産業医等による助言と指導を受ける・・・」となっています。

疲れた中高生が疲れた大人を見ていてばら色の未来は想像するなんて考えられません。ばら色の未来を想像できるような状況を作っていくのは誰の仕事なのでしょうか?

バイアグラを使いたい?

生活改善薬として登場した「バイアグラ」についてあまりに誤解が多く、説明に苦慮していました。
簡潔にまとめられた、日本医師会ニュース「健康プラザ」NO.50、の記事を引用します。

 生活改善薬として登場
毎日の生活の質を、より高いものにしようとする考え方が普及するに従って、命に直接かかわるわけではないものの、「これが解決できたらもっと幸せなのに」という悩みを改善する意味で「生活改善薬」が登場しました。肥満治療薬や育毛促進剤などがそれです。経口勃起不全治療薬・バイアグラも生活改善薬のひとつです。

 効果はあるが使い方に注意
バイアグラは勃起不全に対する薬で、媚薬でも強壮剤でもありません。したがって勃起不全のない健康な男性がバイアグラを飲むと、痛みを伴う勃起が何時間も続く「持続性勃起症」になる可能性があります。その治療はたいへん困難で、これが原因となって勃起不全になることもあり、全く逆効果です。
 また血圧に関係するため、心臓病でニトログリセリンを飲んでいる方では急激な血圧低下によって死亡する例もあり、特に注意が必要です。

 医師の処方が必要な理由とは
厚生省は、バイアグラを医師の処方が必要な薬に定めました。「薬を適正に服用する」という基本的なルールが、この薬ではよりいっそう求められています。
 しかし、患者さんが勃起不全かどうかを厳密に診断することは、専門医であってもかなりむずかしいことです。かかりつけ医として常に健康状態を把握している関係にある患者さんならばともかく、問診で「うそ」を言って処方箋をもらえる場合も考えられます。また転売によりバイアグラを手に入れて飲んだ方が副作用で死亡する可能性もあります。
 日本医師会としては、事故防止の観点から、医師の処方のもとに服用することを強く呼びかけています。

     *****************************

 ところで別の文献から日本人の勃起不全症の割合を紹介しましょう。
   40才~45才 16%       46才~50才 20%
   51才~56才 36%       56才~60才 47%
   61才~65才 57%       66才~70才 70%
という結果です。
この数字は国際学会でも発表された数字で、勃起不全中等症と重症の方の合計です。
軽症の方を加えるともっと増えます。
しかし、この数字を日本人の人口にかけ合わせると、600万人を超える方々が治療対象者となりますね。糖尿病の患者数より多いことになります。

バイアグラについても遠慮なく、気軽にご相談ください。
受付で「健康問題の相談にきました。」と話されれば結構です。

第269段:男と女と睡眠事情

男と女は違って当たり前、でも意外なところにも差があります。

肥り始めの年代にも差があります。
若い20才代では男女共にスマートですが、30才代になると男性の方が肥っている人の割合が増え始め、40才代、50才代と一定の速度で肥満者の割合が増えます。

ところが女性は40才代の後半からそれまでスマートだったのに肥満者が急激に増え始めます。
これは女性ホルモンに食欲を抑制させる作用があるために、女性ホルモンの分泌が活発なときにはたくさん食べないので痩せているのですが、閉経期が訪れると女性ホルモンが少なくなり食欲抑制の効果が消失するため急激に肥り出すと考えられています。

男と女は体調を整える薬にも差があります。
たとえば腸の働きでは、男性は比較的下痢する人が多く、女性には便秘の人が多いのです。
このため男性には整腸剤のなかでも下痢を止める作用の薬が多く使われます。
便秘の薬を求めて受診される方は圧倒的に女性が多いですね。
雑誌の広告を見ても女性誌にはダイエットの案内と便秘の薬やさまざまな便秘解消法の広告が多いことに気付かれるでしょう。
便秘や下痢を繰り返す過敏性腸症候群といわれる病気でも男性は下痢が主体の患者さんが多く、女性は便秘が主体の患者さんが多いのです。
同じ人間だから体調などは男性も女性も似たものだとお考えでしょうが、大違いです。
おなかの調子以外にも男女で薬の要求度の異なる場合が意外とあります。

咳止めの漢方薬には女性には効果がいいのですが、男性には余り効果がないといわれる咳止めの薬があります。
実際に試してみると男性に使うと効き目は怪しく、便秘になることもあり好ましくありません、しかし、女性に処方するとこんなに良く効く薬があるのですかと喜ばれます。
漢方薬ではありませんが、高血圧症に用いる降圧剤に薬の中に咳が出やすくなる薬もあります。
これも私の印象では男性よりも女性のほうに咳が出る割合が高いようです。
そしてその咳には女性に良く効く咳止めの漢方薬が著効を示すことがわかっています。

次は睡眠薬、睡眠薬を要求する性は男性よりもやはり女性が多いといわれています。
これは世界的な傾向で日本だけの傾向ではありません。
晩酌などの習慣から「男性は酒で寝てしまうから睡眠薬を使用する率が少ないのではないか」と考えるのは誤りです。
理由は定かではありませんが、とにかく女性が不眠症になる割合が高いのです。

昨年発表された国際睡眠疫学調査では日本人は不眠を感じている人が21%で調査の平均の25%よりは少なかったようです。
睡眠薬を飲む人の割合は日本では15%ほどですが、ポルトガル、スペイン、ベルギーなどヨーロッパでは40%以上の人が睡眠薬を利用していました。
医師を受診するという行動もヨーロッパでは約半数ですが、日本では8%とその調査の中では最低でした。
睡眠薬の代わりに酒を飲むという習慣は日本が一番多くて約30%でした。
(医師として自分たちや薬が信用されていないのだなあと反省した次第です。)
ところが不眠の原因の一つである興奮剤のカフェインを含むコーヒーやお茶を不眠の人が減らしているかどうかも同時に調べていました。
答えは私の想像どおり、不眠解消の基本的な簡単な努力をしている日本人は10%ほどでこれまた最低でした。

日本人は睡眠に対して偏見を持ち、治療方法にも本当に有効な方法があるにもかかわらず、それを実行せず安易な方向にばかり走っているという姿が見えてきました。
不眠に対しての日本人の行動は諸外国と比べると明らかに異なる文化をもっているようです。
診療室の中でも睡眠薬を欲しがるのは女性が多く、そしてその薬についての不安を訴えるのもやはり女性です。
「目が醒めるのは眠りがたりたからですよ」とお話しても納得していただけません。「眠りがたりないときには居眠り運転するのをご存知でしょ?」と話しても自分の不眠は違うといい張るのも不眠の人の特徴です。
眠ろう眠ろうと必死に考えて興奮しているために『眠らないように努力しておられる不眠症』の人が多いのです。
とはいえ、『女性』、『60歳以上の人』、『健康上の問題を抱えた人』、『うつ病』、『離婚または配偶者と死別した人』などは不眠に陥りやすい傾向があります。

こわがらずに受診して不眠について相談して納得できれば気持ちのよい目覚めが待っています。
お酒には寝覚めを悪くする効果があることをご存知でしたか?

東京ビルヂング「カルテの落書き」から

伝染病予防法が廃止されました。

「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」が99年4月1日から施行され、明治30年に定められ100年を経過して現状に合わなくなった法律(伝染病予防法)が姿を消しました。
もちろん時代の流れの中で何度も改定をされましたが、基本的なスタンスが現代風になり不満な点はあるものの21世紀に向けた新しい考え方になりました。

法定伝染病などの分類が変わり

1類感染症としてエボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、ペスト、マールブルグ熱、ラッサ熱

2類感染症として急性灰白髄炎、コレラ、細菌性赤痢、ジフテリア、腸チフス、パラチフス

3類感染症として腸管出血性大腸菌感染症

4類感染症としてインフルエンザ、ウイルス性肝炎、黄熱、Q熱、狂犬病、クリプトスポリジウム症、後天性免疫不全症候群、梅毒、性器クラミジア感染症、麻しん、マラリア、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症、その他の感染症

となりました。
詳しくはあなたの仲のよい医師にお問い合わせください。私に電子メールでもかまいません。

ついでながら、松本医院は本年4月からインフルエンザの「指定届出機関」に指定されました。毎週インフルエンザの患者数などを保健所に報告する仕事が増えました。

第268段:睡眠薬のやめかた

「先生、この薬をいつまで飲むの?」
「一生この薬から別れることはできないの?」
などと患者さんは治療開始から数週間、あるいは数ヶ月すると必ず質問されます。

一般的に自覚症状のあった病気ではその症状が消えるとすぐにこの質問が出てきますが、高血圧症や高コレステロール血症などの病気はある程度期間が経過してからが多いのです、病気が軽度の場合は数ヶ月ぐらいすると薬の飲み忘れがあったり、予約の日に受診ができなかったりで、つい医療機関に足が遠のいてしまい、次の年の人間ドックや健康診断で「受診の必要あり」とか「要精密検査」などの健診結果を頂戴して頭を掻きながら再度受診という経験の方も少なくないはずです。

生活習慣病というグループの高血圧や高コレステロール血症、糖尿病などの病気では、薬を止めるかどうかの判断は医師以外にはできないのだということを確認していただきたいのです。
今回は生活習慣病から離れて睡眠薬や精神安定剤の話で「いつまで飲むの?」あるいは「この薬とお別れする日は?」の話をしましょう。

睡眠薬や睡眠導入剤あるいは精神安定剤と呼ばれる薬を飲みはじめると
「癖になるからあまり飲まないほうがいいでしょ?」
「なるべく少なくなるように半分だけ飲んでいます。」
などとお話される方がほとんどですね。
一般に医師が処方している「いわゆる眠り薬」は巷で噂されるような数十年前の薬と異なり習慣性も依存性も格段に少なくなっていますから、正しい知識で対処されることをお勧めします。

睡眠薬には精神の緊張を緩和する作用と共に筋肉の緊張をほぐす作用もあり朝起きても「なんとなく、力が入らずダラッとした感じがする」などと訴えられる方もありますね。
ところがここ1・2年出てきた新しい睡眠導入薬ではこの筋肉の緊張を緩和する作用が少ないためになんとなく薬の効果が残っているような印象が少なくなったものもあります。

しかし、不眠の原因が精神的な不安などにある人には若干効きにくい傾向があます。
逆に考えれば眠れない理由や患者さんの状況を詳しく聞くことで適切な薬を選択できるようになり、つまらない副作用で苦しむ理由が減ったわけです。
いわゆる眠り薬を充分に効かせ、副作用で苦しまないための方法は、

1.
必ず起きる予定の時間の8時間以上前に飲むこと。
実はこれが守られていないのです。
夜の12時を過ぎても眠れない、午前1時になっても2時になっても眠れない、そこで睡眠薬を一度に倍量の2錠飲んで寝る。
朝の7時に起こされてもまだ薬が残っているためにふらふらする。
「あの睡眠薬は強くて恐ろしい薬だ!」となってしまうわけです。
そもそも睡眠薬をもらうほどの不眠なのに飲まないで様子をみようとする不可解な行動の裏には睡眠薬に対する誤解があるからです。
しっかり眠るために飲むのですから8時間以上は寝ることを前提にして睡眠薬を飲みましょう。
「癖になっては困るので半分にしましたが今度は眠れませんどうしましょう?」といわれる方へ、薬は厳密な研究の結果平均的な服用量を決めています。

2.
薬を減らすときには飲む量を減らすのではなく、回数を減らします。
もちろん主治医との相談の上での話ですが、一晩薬を休んでみる方法が薬の必要性を判断するには好都合のようです。
薬を止めてもよさそうな時期になったらまず一晩薬を休んでみてそれで眠れたら1日おきにしてという風に飲む間隔を空けてみます。
ダメならまた毎晩飲めばよいのです。
今まで薬で満足するほど眠っているのですから一晩ぐらい眠れなくても体には問題ないのですが、その一晩だけ薬を休んでみるという行動に移れないのが不眠症の悲しさです。
習慣性や依存性は1ヶ月ぐらいで起こることは極めてまれです。
薬の止めどころは医師によっては飲むのを忘れる頃まで続けると説明されることもあります。
多くの日本人は症状がなくなると自然に薬を飲むのを忘れてしまいます。
その頃が薬の止めどきなのです。
気がつけば2週間分の睡眠薬が3週間かかってなくなった、とか仕事が忙しくて気がついたら睡眠薬を飲まないで寝ていたというような経験があればそろそろ卒業?
と考えるわけです。
なるべく飲まないほうがよいと考えるよりも、眠れるようになったら自然に薬を忘れると考える気持ちの余裕が出ると治療の終点が見えてきた感じがします。

過去の睡眠薬のトラブルは今も患者さんの心にしっかりと焼きつき、その怖さが語り継がれているようですね。
しかし医薬の進歩は目を見張るものがあり睡眠の様々なメカニズムが発見されそれに対応できる薬も増えてきました。
眠れない原因にも様々なものがあり、いわゆる眠り薬だけで治療をしているわけではありません。
医師と不眠についてもう一度相談しなおしてみるといい眠りが訪れるようになるかもしれませんね。

東京ビルヂング「カルテの落書き」から

高血圧の新しい管理指針

世界保健機構と国際高血圧学会が共同で作成する高血圧管理指針が改訂され2月4日にロンドンで発表されました。(血圧値はmmHg)

至適血圧は収縮期(上)が120未満 拡張期(下)が80未満

正常血圧は収縮期(上)が130未満 拡張期(下)が85未満

正常高値血圧は収縮期(上)が130~139 拡張期(下)が85~89

軽症高血圧は収縮期(上)が140~159 拡張期(下)が90~99

中等症高血圧は収縮期(上)が160~179 拡張期(下)が100~109

重症高血圧は収縮期(上)が180以上 拡張期(下)が110以上

収縮期血圧と拡張期血圧が異なる分類に属するときには重症の方の分類になります。

 貴方の血圧はどうですか?

指針の終わりの部分に「指針は、その作成、普及、合意された勧告の影響力がなければ、行動なき言葉の羅列にすぎない」と書かれています。

第267段:ニュースに流れた治療法

「犬が人に噛み付いてもニュースにならないが、人が犬に噛み付けばニュースになる」と古くから言われていますが、似たような話が医師の間にもあります。

「手術が成功したことがニュースになるような手術は受けたくない」とか
「手術が失敗したことがニュースになるような手術は是非受けたい。」と感じている医師が少なくないということです。

3つの話に共通しているのは珍しいことがニュースになるということです。

手術が成功したことがニュースになるということは患者さんにとっては希望の光ですが、そのような手術が頻繁に行われていない証拠ですし、手術の安全性が完全に確立されていない可能性もあります。

また始まったばかりの手術ですから長期間にわたっての手術後の経過や後遺症の有無についても検討されていないということです。

新聞やテレビで取り上げられたニュースになるような新しい治療法にはそんな危険性が隠れていることにはほとんどの方が気付いていません。
これで自分が、家族や親戚あるいは友人が救われると考える方がほとんどでしょう。
医師は違った見方をしているのです。

その一方で失敗した手術や治療法がニュースで流れるとほとんどの方が「あんな危ない治療はご免こうむりたい」とか「危険な手術だと報道された手術はいやです。」と話されます。

でもほとんどの場合は成功してうまく行くはずの手術や治療法が、極めてまれな失敗や状況で思いもかけないことが起こったの失敗してニュースになったのですから、次回の治療や手術はほとんどうまく行くはずです。
だから失敗がニュースになるような医療行為は、是非、挑戦していただいたほうがよいと医師は考えるのです。

多くの日本人は「モルモットになるのはいやだ」とか「実験的な治療や手術はとても耐え切れない」などとの意見を持たれて欧米で行われるような実験的な治療に賛成していただけません。
このため日本ではなかなか先駆的な医療が開発できないのが現状です。
しかし一度でも成功のニュースが流れると、あの治療法を私にも、あの手術を家族にもと希望が殺到してしまいます。
一度成功すれば二目も三度目も成功すると勝手に信じられる方が多く、逆に失敗のニュースを聞くことで、今後の手術は全て失敗するというように錯覚されるのでしょう。

最近は医療の世界では「根拠に基づく医療」という考え方が主流になりつつあります。

これは、ある一定の条件下でいくつかに区分された患者さんたちのグループにある治療や手術をしたらどの程度よくなったか、あるいは悪くなったかを調査します。
調査研究の結果が報告され公表されることで、一般の医師もその結果に基づいて治療方針を決定し患者さんをより確実によい状態になるように治療ができるようになると考えられ、様々な研究が進められています。

しかし、この研究調査のために偽薬を飲まされる人もいますし、結果が未知で不確かな不安の付きまとう新しい治療を受けざるを得ない患者さんも出てきます。
成功する場合もありますが、運悪く駄目な治療グループに入れられる可能性もありますね。その運の悪い患者さんにあなたが当たったら許せますか?
証拠のある治療根拠のある治療法をしたいという希望があることは認めますが、その治療法を確立するために、危ない橋を渡った多くの人がいる。
あるいはその治療途中で命を失った人が多くいるという現実を認めなければなりません。

今までの場合、欧米の方々の献身的な努力のおかげで、日本では様々な治療や手術の基礎研究を手に入れることができました。
しかし、日本の医学が最先端を走るようになると日本人だけがいわば人体実験とも言えるような先駆的な治療法の研究には参加しないでよいという理由は世界から認められることはありません。

最近の治療では人種による差も明らかになりました。
日本人だけに特有の病気や人種や民族が異なることで薬に対する反応性も異なることがわかってきました。
いよいよ日本人も先駆的な治療法の計画に取り込まれながら病気と向き合う時期がきました。
主治医とよく相談しながら自分の病気に対してどんな治療法を選ぶのか、治療法の光と影を正しく理解して納得のいく健康管理をしてください。
あなたとっての光と影、家族にとっての光と影、医師にとっての光と影どれもが微妙に異なります。
最後はあなたの決断です。ニュースの裏を読みながら新しい治療法や手術を考えてみてください。

東京ビルヂング「カルテの落書き」から

ポリオ(小児まひ)のワクチン接種

ポリオ(小児まひ)はポリオに感染した人の便中にポリオウイルスが排泄され、これが口にはいることによって感染します。

ウイルスに感染しても90~95%の人は何ら症状が出ないので免疫ができます(抵抗力を獲得します)。
5~10%の人はかぜ症状を呈し、その後免疫ができます。
感染者の内0.1%~0.5%の方に麻痺が現れ、永久に麻痺が残ったり、呼吸困難により死亡することがあります。

ポリオに感染すれば症状が出なくても免疫ができます。
またポリオワクチンの予防接種(ワクチンを飲むだけです。)により免疫を得ることもできます。

厚生省の調査ではこのポリオに対する免疫が昭和50年生まれ、51年生まれ、52年生まれの日本人の方々には不十分な方が40~60%に達しているようだということがわかりました。

この昭和50年~52年に生まれた方々は「国家検定を受けたワクチンを投与」されたにもかかわらず十分な免疫が得られていなかったのです。

厚生省からはポリオの追加接種をした方が安全だと考えられる方々を次のように定めています。


  通常の接種予定者に加えて

  昭和50年から昭和52年に生まれた方で

1.ポリオウイルス常在国に渡航される方
2.お子さまがポリオワクチン接種を受けるとき(受ける時期はお子さまと同時期)


松本医院では個別のポリオワクチンの接種を行っています。
ご希望の方は必ず予約をして下さい。日時を指定します。
ワクチンの包装が20人分が1包装のため希望者の希望の時間に実施することが困難です。費用は全額希望者の負担です。(予防接種が法律に定められた方は市町村で受けて下さい。)

国家検定したワクチンで公費で接種をしてうまく免疫ができていないので、心配な人は自腹を切って予防接種を受けなさいとは変だと思いませんか?

第266段:花粉症

インフルエンザの流行が終わらないうちに、2月になるとスギ花粉症の話題が出てきます。
このスギ花粉症は50年前にはその病気の存在すら認められていませんでしたから正に現代病として騒がれています。
スギの花粉に過敏な方が「くしゃみ」。
「はなみず」、「なみだ」などで苦しみます。

最近はスギの花粉が終わった頃に飛び始めるヒノキ花粉症も存在することがわかり、1人で両方に過敏な方もあり苦しみを倍加させています。
比較的若年者に多く高齢者には少ないのですが、完全に治るという確証がなく様々な治療が試みられていますが、怪しげな治療法も跋扈(ばっこ)していて真偽の程を確かめるのも我々の仕事になり忙しさにてんてこ舞いとなります。

最近ではこのスギ花粉症は人間だけでなくニホンザルでも存在していることがわかり混乱に拍車を掛けています。
原因についても百家争鳴の感があり大気汚染や地球の温暖化なども出てくると、人間の診療をしている医者だけで解決できる問題ではなくなった感じさえあります。

今回は様々な原因について述べてみましょう。

スギ花粉症はスギ花粉大量に飛散している地域で認識が始まりました。
ところがスギ花粉が多い地域の中でも患者さんの多いところに花粉が大量に飛んでいるかというと必ずしも多くない。
国道沿いの家に住んでいる人と国道から離れている人たちとを比べると国道沿いの人のほうに患者さんは多かったという事実が確認され詳しく検査をすると、どうもディーゼルエンジンから排気される微粒子とスギ花粉の相互作用ではないかと疑いを持たれ始めました。
しかしどちらが主因かと問われればやはりスギ花粉です。

大量のスギ花粉が飛ぶようになった理由には杉の植林が盛んだった時代があり(桧も同様に植林を推進した時代がありました。大量の松が松くい虫にやられたことも原因の一つです。)植林された杉が花粉を大量に飛ばす年数になったという考えや、山林業の衰退で杉の枝打ちや間伐が少なく必要以上に花粉をつけ飛散量をふやしたという説もあります。

また生活環境のアスファルトやコンクリートが多くなったことで、飛散したスギ花粉が再度舞い上がって刺激を繰り返すという点も指摘されています。
昔ながらの草や土が多い環境なら地面に落ちたスギ花粉が再度舞い上がる率が低かったという理由です。

もう一つ杉の花粉が増えた原因で注目すべき説があります。
杉の生育環境が悪化したため杉の種の保存が困難と多くの杉が判断し大量のスギ花粉を飛散させ始めたという説です。
杉は暖かい沖縄には自生していない木ですから元来比較的寒いところに分布しています。

地球の温暖化のために杉の生育に適した温度よりも高くなったために、現在の杉の木は仕方がないとしても自分の子孫は生き残らせるために大量に花粉を飛散させているというわけです。
また前述した間伐や枝打ちの減少で杉の木同士の密度が高すぎて不適当な生育環境と杉が判断すれば新天地に子孫を残そうと更に花粉の量を増やす可能性もあります。

人間のほうが変わったのではないかと考えられる向きもあるかもしれませんが、人間の遺伝子は20年、30年とか100年、200年では簡単に変わりません。
親子や孫の間でいとも簡単に遺伝子が変わったりすることはありえないのです。
アレルギー疾患が先進国に多いことから寄生虫がいなくなったからアレルギー性疾患が増えたという学説もありましたが、これも否定的です。

様々な化学薬品などの環境ホルモンも疑いはもたれていますが、証拠をつかむまでには至っていません。

混乱している治療のほうですが、とりあえずの症状を抑える薬はそろっています。
しかし根本療法はまだ見つかっていません。
意外なことにこの花粉症には古くから存在する漢方薬が効果的です。
眠気や口が渇くというような副作用もほとんどなく安心して使用ができます。
昔からあった薬が花粉症にも効くということに気付いただけのことです。

人間側の対策に加えて杉のほうにも対策を加えています。
杉の品種改良をしている研究機関ではこの杉の花粉が少ない品種を交配して成功したというニュースを昨年読みました。
効果が出てくるのはその品種改良された杉を植林して20年から30年後です。
山は自分で植えた木を育てて自分が売るのではなく、3代かけて木を育てる仕事だという話を子供のころに聞いたことを思い出しました。
ゆったりとした時間の流れで動いている山の木々が私たちを笑っているかもしれませんね。

東京ビルヂング「カルテの落書き」から

糖尿病の基準値が変わります

1997年6月の米国糖尿病学会で糖尿病の新しい診断基準が発表されました。
日本では今年の6月頃に新しい診断基準を発表する予定です。

昔は甘い砂糖水の様な液体を飲んで30分おきに何度か採血をされた方があるかもしれませんが、糖分の摂取を制限した方がよい人に糖分を食べさせる(飲ませる)のは病気を悪くさせる可能性があるので「日常診療では推奨しない」となっています。

そして今回の改訂で今まで空腹時血糖(食後8時間以上カロリー摂取がない状態での血液中のブドウ糖量)を測定し140mg/dl以上を糖尿病と診断していたのを、126mg/dl以上を糖尿病と診断することになるようです。

これは糖尿病の進行状態を詳しく検討した結果、今までの診断基準では病気の進行を止めることが困難で、糖尿病によって引き起こされる様々な病気をくい止めるためには126mg/dlという値が適切であるという結論に落ち着いたためです。

今まで「軽い糖尿の傾向ですから気を付けて下さい」と言われていた人が「糖尿病です。食事療法と運動療法を始めましょう。」といわれます。

今回の改訂では空腹時血糖の正常は110mg/dl未満ということになりました。
110mg/dl以上~126mg/dl未満の人は空腹時血糖の境界域となります。

今までよりも糖尿病と判定される方が増えます。
私たちもこれまで以上に糖尿病診療に力を入れて行きます。

自覚症状がないから大丈夫ではありません。
糖尿病の治療は症状を自覚させるようでは失敗なのです。

もう一度自分の健康状態を点検しましょう。

糖尿病の軽い人には以外と心臓病の発生が多いことも分かっています。
10年前に比べて糖尿病の薬は格段に進歩しました。
昔の知識や常識は全く覆されているといっても良いかもしれません。
もう一度ご相談下さい。

第265段:癒されていますか?病院で

受診が必要だと聞いて癒しの場に行けると素直に喜べますか?

ほとんどの方が病院などの医療機関を受診されることを嫌がられますね。
しかし病気を治す、あるいは癒す場であることに異論はないと思います。
癒しの場ならもう少しそれらしい場にならないのか?
検査はもっと楽にならないのか?
生活の場としての雰囲気も全くないあれで癒しの場とは考えられない。
などとお考えでしょう。

病院は英語ではホスピタルといいホテルと同じ語源の言葉です。
苦難の付きまとう巡礼の旅に疲れた旅人を休ませる宿からの言葉です。
ホテルではゆっくりとくつろげるのですが、病院ではくつろげませんね。
病院の成り立ちが異なるからです。

東京ビルヂング「カルテの落書き」から

インフルエンザ感染症の薬(飲み薬が出ました)

抗A型インフルエンザウイルス剤「シンメトレル」という薬が今年の冬から健康保険で使用できるようになりました。(注射ではなく、飲む薬です。)

今までは細菌によって引き起こされる感染症には抗生物質で対応していましたので、大変な効果を得ることが出来ていましたが、ウイルスと呼ばれる細菌よりもさらに小さな病原体には、予防接種以外にほとんど有効な治療や予防がありませんでした。
(水痘症{みずぼうそう}やヘルペスなどには治療薬がありました。)

今回健康保険の適用になった「シンメトレル」という薬はノバルティスファーマ株式会社から販売されている薬で、従来は「パーキンソン症候群」、「脳梗塞に伴う意欲・自発性の改善」に用いられていたものです。

以前から、この薬のA型インフルエンザに対する効果は医療関係者のあいだでは知られていましたが、厚生省が健康保険での使用を認めていませんでした。

A型インフルエンザにのみ有効ということは、B型インフルエンザや普通のかぜには全く聞かないということです。
難しい話は省略しますが、大人で38.5℃以上の発熱があり、関節の痛みを生じたり、激しい咳やくしゃみ、鼻水、咽頭痛などを伴ういわゆる「ひどいかぜ」の状態になる病気にだけ有効です。

副作用も結構ありますので、冬の間、誰でもがこの薬を飲むのは危険です。
その内容は誤解を生じたり、不安をあおる可能性がありますので、このページでは公表しません。
お知りになりたい方は電子 メールでお問い合わせ下さい。必ずお答えします。

海外での使用成績では感染を40%抑制し、発症を85%抑制したとの報告があります。
受験期の方や高齢者で今年のインフルエンザの予防接種を受けることが出来なかった方のための救済策だと考えて下さい。

第264段:医者を選ぶのも寿命の内

医者仲間で会食していたとき
「おまえが病気になったときには誰に診てもらうつもりかい?」
と一人が問い掛けました。

「俺には主治医になってほしい医者がいないの! 同じ医者同士だから会話の中から相手のの知識や腕が推測できるけど、すべてを任せるだけの医師には出会ったことがないよな。自分自身じゃできないし、最後の判断のときを任せられる医師は今のところなし!」
「僕も同じ、どいつも「帯に短し、たすきに長し」だもの、医者を選ぶのも寿命のうちだけど選択肢がないのがつらいね。」
話はどんどん盛り上がりました。

医師にも知識や技術に大きな差があります。
そして腕前といわれる部分での差だけでなく、医師と患者さんとの間の信頼関係の構築の仕方の上手下手が、問題になってきています。

名医といわれる医師を紹介していただき受診したけれどもなんだか「そりが合わな」、「聞きたい話がうまく聞けない」などと悩んだことはありませんか?

「腕は良いのだろうけど、ちょっと・・・・」という話は出ませんか?

医師の生活習慣や生活信条が患者さんの診察時や指導時に出てきます。

ある研修会での糖尿病のシンポジウムで出席者から5人のシンポジストに質問が出ました。
「各々の先生方はタバコを糖尿病の患者さんにどのように指導されていますか?」、「出来れば吸わない方がよいと指導します。」、「絶対だめと指導します。」・・・
それぞれの答えは積極的に禁煙と答えられた3人の医師は非喫煙者でしたが、自らが喫煙者の2名は歯切れの悪い答えでした。

ところがその日の司会者は喫煙者の大学教授でしたので「この質問に対する答えは指導する医師が喫煙者と非喫煙者で答え方が明らかに異なることがわかりました。
そして私も喫煙者ですのであまり強くは禁煙を指導できません・・・・・・・」、つまり自分がタバコを吸っている医師は患者さんに強く禁煙を求めないということです。

となると喫煙する医師を主治医に持つと本当に禁煙が必要なときにもあまり強く指導を受けないということです。
患者さんの方は絶対禁煙といわれると覚悟して受診しているのに、医師から甘い言葉が出てくるとこれ幸いとタバコが吸えるわけです。
ここに「医者を選ぶのも寿命の内」の解釈のひとつがあります。

肥った医師は体重の減量を指示するのがつらいですし、酒が好きな医師は禁酒や節酒を強く指導しません。
大食いの医師は食べすぎを戒めません。
運動嫌いは運動療法を過小評価します。
薬害を気にする医師は薬を使いたがりませんし、自分が大量に薬を飲んでいる医師は大量の薬を出すことに抵抗感がありません。
検査好きの医師は検査を連発しますが、人間ドックの担当の場合には自分の専門外の分野の疾患の場合には精密検査や再検査に消極的な場合があります。

患者さんの生活習慣や考え方と似ている医師を主治医にすると医師と馬がよく合い最高の医師患者関係となります。
でもそれが本当に患者さんの健康問題での正解かどうかはわかりません。
だからやっぱり「医者を選ぶのも寿命の内」なのです。

治ることが望めない終末期の医療はもとより、一般の診療でも人生観や死生観が医師によって大きく異なるため患者さんや家族の方々への話し方がまったく変わります。
治療をしつづけることが医療と信じて疑わない医師、無駄な医療だからと積極的な医療を控える医師、医者を選ぶことにもう少し躊躇してみませんか?

古典的な解釈では医者の腕前で寿命が違ってくるのでよい医者を選びなさいという意味だったのでしょうが、改めて考えると自分や家族のの健康問題が主治医の生活習慣や生活信条、人生観や死生観に左右されているということです。
もう一度主治医の生活を探ってみませんか?

東京ビルヂング「カルテの落書き」から
プロフィール

taijindo

Author:taijindo
島根県益田市にある松本医院(内科・小児科・アレルギー科)の院長です。

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